褥瘡とは
身体の同じ部分に長時間の圧力がかかり、皮膚組織の循環障害が起こり皮膚や組織が壊死することです。
同じ姿勢で長く寝ていたり、座っていることによりできますが、特に寝たきりの人や神経麻痺などの障害を持つ患者さんが、自分で身体を動かすことができず、長時間同じ姿勢で寝ていることによりできることが殆んどのため、床ずれと言われています。
一旦できると治りにくいばかりでなく、本人は大変苦痛を伴うことが多いため、一定時間ごとに体の向きを変え、皮膚を清潔に保つなどして床ずれができないようにすることが大切です。
褥瘡の原因
外的要因
外力に対し組織内部に発生する「内力」が主な原因です。
【応力(stress):物体に外から力が加わる際、その物体内部に生じる力】
- 組織に垂直に作用する圧力(体圧)に対して生ずる圧縮応力
- 組織と支持面の間の摩擦・ずれにより生ずる引っ張り応力・剪断応力
- むれた状態
内的要因
加齢・低栄養・麻痺・乾皮症などの皮膚の状態等多岐にわたるため、
患者さんの状態を全身的に評価する必要があります。
- 血液像(貧血の有無)・血清アルブミン・血中の亜鉛の定量などを測定し、低栄養がある場合はその改善を図ります。
褥瘡の好発部位
【仰臥位(ぎょうがい)】
【側臥位(そくがい)】
【座位】
褥瘡の予防
- 褥瘡のケアの基本は、除・減圧(支持面の調整と体位変換)、皮膚の保湿と保清(清潔)、栄養管理が主体となります。入浴は創の有無を問わず大いに推奨されます。管理栄養士や薬剤師、リハビリテーション療法士の係わりも重要です。
- 体圧分散寝具の使用。(褥瘡マット・メディカルムートンなど)
- 定期的に十分な体位交換を行ないます(2時間ごとが基本)。意識のないときは、背中に支えのクッションを入れ30度の角度で片側を浮かせます。
ギャジアップ(背もたれを上げる)時は、30度とし背中とお尻に圧力を分散させます。
褥瘡の治療
当院では患者さんの全身を詳しく評価し、こまめな体位交換や皮膚の保清に努めます。やむを得ず褥瘡が発生した場合は、褥瘡の状態により、外用薬と被覆材(ドレッシング)による保存的治療や外科手術を主に行ないます。病変部は毎日洗浄しフィルムや外用薬等を使い湿潤を保ちます。
また、栄養状態の管理は褥瘡予防に重要ですので、管理栄養士と相談しながら患者さんに適した食事を提供します。本人は大変苦痛を伴うことが多いため、一定時間ごとに体の向きを変え、皮膚を清潔に保つなどして床ずれができないようにすることが大切です。